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保護犬の幸せな未来のためにー「殺処分ゼロ」の実現には市民一人ひとりの関心が近道

TANZAQ の出稿先プロジェクトとして選ばせていただいたピースワンコ・ジャパンさま。
1年間のプロジェクト実施期間を満了した今、感じていることを伺いました。

ピースワンコ・ジャパン

大阪府内の企業の障がい者雇用の未達成数が約8,000人という課題に対して、障がい者が社会課題解決の担い手となる大阪発のビジネスモデル「ユニリク(ユニバーサルリクルーティング)」という新しい雇用の形を推進している。

聞き手大森 一弘(株式会社Yogibo執行役員、TANZAQ 担当)
語り手古市 幸子さん(ピースウィンズ・ジャパン コミュニケーション部)
日時2023 年5月12日インタビュー実施

人道支援団体から生まれた犬の命をつなぐ団体

ピースワンコ

大森:人道支援をされている認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパンから犬の「殺処分ゼロ」を目指すピースワンコが生まれたのには、どのような経緯があったのでしょうか?

古市:ピースウィンズの代表大西が災害救助犬の候補を探しに動物愛護センターへ訪れた際、犬の殺処分の実状を目の当たりにしたことがきっかけです。子犬が殺処分の順番待ちをしている姿が印象的で、人の命と同様に動物の命も守られるべきであるという想いから、犬の殺処分ゼロを目指すピースワンコが生まれました。

ピースワンコは、日本から犬の「殺処分ゼロ」を目標に掲げて活動をスタートさせ、まず定期的に実施されていた広島県神石高原町内の捨て犬の回収をなくすところから始めました。現在では、主に動物愛護センターで保護された犬をピースワンコで引き取り、シェルターでの健康管理や人馴れトレーニングを経て新しい飼い主に譲渡するという一連の流れをしています。これまで10年以上の活動を通して、7,000頭以上の犬の命を繋いできました。
また、保護した犬たちを里親さまへ譲渡するだけでなく、災害救助犬、低血糖アラート犬、セラピー犬、里守り犬など人の役に立ち活躍につながるようなトレーニングもしています。

大森:活動を始めてから今まで、何か印象的だったことはありますか?

古市:
活動開始当初、想定していた受け入れ頭数を大幅に越えてしまったり、パルボウイルスという致死率が高い感染症が動物愛護センターで流行ってしまったり、犬を保護する団体として運営が安定するまでにはたくさんの時間がかかりました。施設を拡張し、必要な対策を繰り返し講じたことで、近年ようやく落ち着いて運営することができるようになったと思います。

地道ではありましたが、犬たちの日々のQOL向上への取り組み、人馴れトレーニングの体制の強化、譲渡後のフォローの改善を繰り返してきたことで、一般的に譲渡しやすいといわれる子犬だけでなく、ピースワンコで長い期間暮らした7歳、8歳ぐらいのおばさんおじさん犬たちも多く卒業できるようになり、嬉しく感じています。

沢山の方々に団体を知ってもらうきっかけとなった「保護犬を守り隊」キャンペーン

ピースワンコ

TANZAQへの参加を決めたきっかけは何でしょうか?

古市:日本における犬の「殺処分をゼロ」にするという大きな目標を達成するためには、多くの人にピースワンコについて知ってもらう必要があると感じていました。TANZAQを通じて得られる広告費を使うことで、ピースワンコの認知度向上欠かせない保護犬のイメージアップに注力することができると考え、応募しました。

大森:ピースワンコさんはSNSキャンペーンを中心に様々な広告活動を実施されていましたが、その中で反響がよかったものはありますか?

古市:特に保護犬を引き取ってから譲渡するまでのビフォーアフター動画や、初めて里親になった方々に焦点を当てた情報発信は反応が良かったです。TANZAQチームの皆様からのアドバイスで始めましたが、譲渡を検討される方や譲渡後に同じ悩みを抱える里親にとって励みになったようで、有意義な取り組みだったと思います。

また、愛犬や保護犬のリアルな姿をSNSに投稿する参加型のキャンペーン「保護犬を守り隊キャンペーン」の定期的な開催も効果がありました。キャンペーンの実施が里親さまとのコミュニケーションや保護犬を飼っていない方への認知度拡大のよいきっかけとなりました。

SNSキャンペーンは、犬の殺処分の現状を知ってもらうだけでなく、保護犬の暗いイメージを変えるためにも重要な役割を果たせたと思います。多くの犬好きの方に楽しんでいただけたキャンペーンとして終えることができ、新しい挑戦のなかで大変なこともありましたが、新しいつながりもたくさんでき、やってよかったと感じています。

大森:キャンペーンは本当にいい取り組みで、非常に盛り上がりましたよね。あえて保護犬に限定しない発信をしたことが、「犬好き」というコミュニティを通じて沢山の方々にピースワンコさんを知ってもらえるきっかけになったと思います。

TANZAQが団体広報に対する意識変革のきっかけに

ピースワンコ

大森:発信力を高めるため、YouTube動画の制作に試行錯誤されていたのが印象的でした。TANZAQの広報活動を通じて、団体内で変化したことはありますか?

古市:ネガティブな発信ばかりにならないようなストーリーでの動画制作など、「広報物を作る」という意識が高まりました。こまめに犬たちの成長記録を記録したり、劇的な瞬間の撮影を逃さないようにしたり、素材となりそうなシーンを撮り溜めておいたり、日頃から発信を強く意識して行動するようになりました。その結果、Youtubeアカウントは当初1,500人程度の登録者数だったのが、77倍の11.8万人へとアカウントを大きく成長させることができました。

大森:とても大切なポイントだと思います。ただ辛い状況をそのまま発信するだけでは、団体や保護犬の認知度向上にはつながりにくかったと思います。Youtubeアカウントの成長は、TANZAQへの参加を通じてピースワンコさんが試行錯誤された結果ですね。

古市:Youtubeだけでなく、Yogiboがスポンサーとなっている仕組みについて企業から問い合わせを受けることも多く、様々な企業がピースワンコの事業に興味を持ってくださっていることを実感しました。また、オンラインで寄付をしてくださるサポート会員が1年で3万人から5万人に増え、これもTANZAQに参加したおかげだと考えています。

引き続き、犬の殺処分ゼロを目指して

ピースワンコ

大森:今後ピースワンコさんはどのような活動をされる予定ですか?

古市:2010年には日本全国で15,000頭以上殺処分されてしまった犬が、2022年には2,729頭まで減少しました。現実的にゼロにできる数字まで減ってきているので、捨て犬や保護犬、野犬の殺処分がどの地域でも実際に起きている問題であることを知ってもらうための発信を続けていきます。
具体的には、オフラインイベントの企画や、長年寄付で支えてくださっている方々に企業とコラボレーションしたノベルティの配布などを検討しています。

自団体だけで保護活動をするのではなく、市民一人ひとりに関心を持ってもらうことが「犬の殺処分ゼロ」を実現させる一番の近道だと信じています。

大森:ピースワンコさんが保護犬の健康管理やトレーニングなど活動の幅を広げることも大切ですが、多くの方々に犬の殺処分を自分ごととして捉えてもらうことも非常に重要ですよね。今後の発信を通じて自分ごととして捉えてくれる人が一人でも増え、犬の殺処分ゼロにつながっていくことを祈っています。
この度はインタビューをお受けいただき、ありがとうございました!

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