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NPO法人DEAR ME

ファッションの力を通じて社会課題を解決するために【完了インタビュー】

TANZAQ の出稿先プロジェクトとして選ばせていただいたNPO法人DEAR MEさま。
1年間のプロジェクト実施期間を満了した今、感じていることを伺いました。

NPO法人DEAR ME

フィリピンの貧困地区マニラに暮らす子どもたちが、生まれた環境に関わらず誰もが夢を描いて努力をする社会を目指し「ランウェイの上で夢を描く」をテーマとしたDEAR MEファッションショーを開催。 また、新たな挑戦として、描いた夢に向かって実際に努力できる環境を創出するため、フィリピンマニラにてファッションスクール(coxco Lab)を設立。団体内で教育・雇用機会を創出し、就職先の選択肢を増やすことで、貧困問題の解決を目指す。

聞き手
大森 一弘(株式会社Yogibo執行役員、TANZAQ 担当)
語り手
小村 萌さん(NPO法人DEAR ME 理事)
佐野 まさこさん(NPO法人DEAR ME 学生代表)
日時
2023年3月31日インタビュー実施

ファッション産業で社会課題を解決するために

  

大森:ファッションを起点として様々な活動をされているDEAR MEさんですが、その活動内容について改めて教えてください。

佐野:DEAR MEが行っている活動は大きく分けて3つあります。

まず、2015年にフィリピンの貧困地区で暮らす子どもたちと共に夢を描くことを目的として始めたファッションショーです。2023年の現在に至るまでに計9回開催されています。

2つ目が、2023年2月より新たに開校したファッションスクールcoxco Labです。coxco Labは職業訓練校で、フィリピンに住む若者が縫製の技術やデザインについて学べるようになっています。

そして最後に、日本国内で企業と消費者が共に社会課題について学び、その解決を目指す「タイムレスワースプロジェクト」に取り組んでいます。国内のZ世代をターゲットに据え、国内企業と社会課題の解決につながる商品開発を行ったり、消費者教育につながるトークショーなどを実施したりしています。

大森:ファッションに特化した活動を行うDEAR MEさんですが、なぜファッションを通じた社会課題の解決という構想に至ったのでしょうか?

小村:まず、私たちDEAR MEメンバーはファッションの力を信じていて、ファッションの力を通じて社会をよくしたいという強い想いをコアに持っています。加えて、フィリピンの貧困地区の子どもたちを「支援する」のではなく私たちも「共に体験して共に創る」こと、生まれた環境に関わらず誰もが夢を描きその夢に向かって努力できるようにすることが大切だという考えがあり、それらを実現させるために「ランウェイで上を向いて夢を描くファッションショー」という構想に至りました。さらにファッションショーを継続するなかで、ファッションショーが終わると貧困地区での生活に戻らなくてはいけない子どもたちを目の当たりにした経験が、「夢に向かって努力し続けられる場所としてのファッションスクールcoxco Lab」の設立につながっています。

ファッション業界以外も巻き込んだ仲間づくりにつながったTANZAQ

大森:TANZAQに参加しようと思ったきっかけは何でしょうか?

小村:かねてから、DEAR MEの活動の背景にあるフィリピンの貧困問題やファッション産業が地球に与える影響などについて、より多くの人に知ってもらいたいとSNSやメディアなどで積極的に発信をしてきました。しかし一方で、自分たちの発信する情報になかなか付加価値を付けられていないという課題意識がありました。そのタイミングでTANZAQを知り、団体の情報発信に「企業との共創」という経済的な価値を付加することで非営利法人として持続的な活動ができるようになるのではないかと考え、応募に至りました。

特にフィリピンの貧困問題の本質的な解決に向けては、継続的に活動し続けることが最重要だと常々感じています。そのために持続的な活動基盤が求められているにもかかわらず、非営利法人であるがゆえに収入が乏しく、一時的な寄付金頼りで資金的に苦労することが多々ありました。その解決策としても、そしてDEAR MEの活動に価値を見出して共創していただける団体や企業を探すための手段としても、TANZAQに参加することはプラスになると考えました。

大森:TANZAQに参加されたことで起こった変化はありますか?

小村:Yogiboさんの広告活動を通して団体を知ってもらう機会が増え、仲間集めをする良いきっかけになりました。ファッション関連の企業ではないYogiboさんがスポンサーとなってくださったことで、ファッション業界以外の企業の方々にも「うちにも何かできることがあるかもしれない」と考えていただけるようになりました。フィリピンの貧困問題を解決するためにはいろんな企業や個人の力が欠かせないなかで、このようにファッション業界以外にも仲間が増えたことは非常に大きな成果だと感じています。

また、誰でも知っているブランドであるYogiboさんがスポンサーとして付いてくださったことで、団体の信頼度の高まりも実感しました。

SNS発信と向き合うことで得たコンテンツの奥行き

大森:Yogibo製品の活用や、Yogibo Tシャツの着用など、DEAR MEさんは広告効果を高めるために様々な施策に挑戦されていましたよね。これまでの取り組みの中で、DEAR MEさんにとっても実施して良かったと感じたものはありますか?

佐野:Yogiboロゴ入りのオリジナルTシャツの着用と、ファッションショーのパネルへのロゴ掲載は、実施してよかったと感じています。DEAR MEではエンゲージメントの高いメンバーの写真をSNSに投稿することが多く、そのためTシャツやパネルはYogiboさんのロゴの効果的な露出につなげることができました。

DEAR MEのInstagramアカウントは元々ファンが多い媒体だったのですが、この度団体の発信力をさらに高めるためTikTokアカウントの開設に挑戦しました。初めての挑戦のなかでバズる投稿を創出できたのは、団体としてもいい成功体験となりました。身近な知人友人などの反応が耳に入り、TikTokが確実な新規ファンの獲得につながったことも実感しています。

大森:DEAR MEさんはTANZAQに参加される前からSNS発信が得意な印象がありますが、広告活動にあたって苦労はありましたか?

佐野:DEAR MEとしてのSNS発信のなかにスポンサーであるYogiboさんのロゴなどをどう組み込むか、当初は苦労しました。ベンチマークとなるアカウントを探したり、自分たちの強みと時流を掛け合わせた投稿になるようメンバーで話し合ったり、TANZAQ期間中は今まで以上にSNSと向き合いました。

小村:TANZAQ参加前からSNS発信には自信があったものの、発信したコンテンツのimp数などの管理をしたり、数値目標を立ててそれを目指したりという経験がなかったので、当初はなかなか目標imp数を達成できず苦労しました。しかし、不慣れながらも数字を追いながら投稿を分析したのはとてもいい経験となり、今では発信力やZ世代への影響力などの価値を数値として把握できるようになりました。

また、メンバーが誠実にSNSに向き合ったことにより、コンテンツに厚みが出てきたと感じています。今までファッションショーの事後報告だけだった投稿が、広告活動の一環で投稿数を増やすためにイベントを創り上げていくプロセスなども発信するようになり、それが新たなファンの獲得にもつながりました。

今後の活動について

大森:DEAR MEさんはこれからどのような活動をされるのでしょうか?今後の目標があれば教えてください。

小村:今年2023年はファッションスクールcoxco Labを新たに設立し、これまでファッションショーの開催だけでは難しかった「描いた夢に向かって努力できる環境づくり」を進めています。そのスクールで教育機会を提供し、さらに卒業後の雇用を創出することで持続的に貧困問題を解決する仕組みづくりに挑戦することがDEAR MEとしての当面の大きな目標です。
スクールでは、生徒一人ひとりのバックグラウンドに向き合うことに特に力を入れています。初年度の入学者は10名と決して大人数ではありませんが、その10名全員がファッションの基礎知識を身につけ、卒業後に大好きなファッション業界で仕事ができるような環境づくりに注力したいと考えています。

そのためには、持続的にお金を生み出す仕組みづくりが欠かせません。これはDEAR MEだけで実現できるものではないので、多くの企業さんと連携しながら創りあげていく必要があると感じています。

また、coxco Labはファッションスクールではありながら、ファッションに閉じず、SDGsや環境保護、性に関する教育にも力を入れようとしています。TANZAQを機に道が開けたように、今後もファッション業界に固執せず、SDGsや環境、性教育に力を入れている企業へも積極的にアプローチができればと考えています。

中長期的には、coxco Labに美容コースや工場用の縫製コースを開設したり、DEAR MEの代表西側が設立したアパレルブランド「co×co」のフィリピン工場を設立して団体内でも雇用ができるようにすることを目指しています。

大森:コロナ禍の逆境にもかかわらずファッションスクールを無事開校し、メディアからの注目度が高まっている今、とても良い流れになってきていますね!TANZAQがその流れを少しでも後押しできていれば嬉しいです。
インタビューのお時間をいただき、ありがとうございました!

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