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NPO法人WELgee

難民が難民としてではなく、魅力的な人材として日本で活躍するために【完了インタビュー】

TANZAQ の出稿先プロジェクトとして選ばせていただいたWELgee(ウェルジー)。
1年間のプロジェクト実施期間を満了した今、感じていることを伺いました。

NPO法人WELgee

社会的な不理解や法的制度上の課題により困窮する、日本に逃れてきた難民の社会参画の機会を創出するNPO法人。難民の方への伴走支援や、企業のダイバーシティ、グローバル化の推進に貢献する人材紹介サービス「JobCopass(ジョブコーパス)」の運営を通じて、彼らが本来持つスキルを活かせるような安定した仕事につなげ、安定した在留資格に変更することにより、難民の中、長期的な人生設計を共に行っている。

聞き手
大森一弘(株式会社Yogibo取締役、TANZAQ 担当)
語り手
林 将平さん(WELgee PR部・ファンドレイジング部統括)
日時
2022年11月7日インタビュー実施

難民が難民としてではなく、魅力的な人材として日本で活躍するために

大森:WELgeeさんの活動を一言で表すのって難しいですよね。ただ「難民支援をしている団体」と表現してしまうのは、少しニュアンスが異なると感じています。具体的には、どのような活動をしているのでしょうか?

林:「難民」を違う世界のことのように感じられる方もいらっしゃいますが、日本にも多くの難民が逃れてきています。しかし、日本の難民認定審査がとても厳しいことは以前より課題として挙げられています。何年も審査結果を待つ必要があり、更には先進国と比較しても類を見ない極めて少ない難民認定数であるのが現状です。

難民といえど、実は自国で政治活動をしていた方や、起業家として少数民族の雇用課題の解決に向けて取り組まれていた方など、グローバル人材として魅力的な方がたくさんいます。貴重なキャリアを積んできた潜在能力のある方々が、日本社会で審査結果を待っている間に宙ぶらりんとなっている状況を率直に勿体ないと感じ、人材紹介サービスJobCopassを始めました。

難民と民間企業をマッチングさせる仕組みは、当事者の自尊心の向上や経済的インパクトなど、様々な面でメリットがあると世界的にも言われています。そのため、この仕組みを日本でもっと広げるような活動をしていきたいと考えています。

大森:難民として認定されることが「難民支援」のゴールではない、ということですよね。狭き門であるにもかかわらず、認定されたところで生活が安定する保障があるわけではない。そこで難民を「専門性のある人材」としてスポットライトを当てたことで、難民に新しい選択肢を生み出したということですね。WELgeeさんの活動がきっかけで何か制度が変わったというお話も聞いたことがあるのですが、具体的にはどのようなものでしょうか?

林:2018年の1月以降、一度難民申請をしてしまうと、途中で別の在留資格に変更することが事実上不可能だったのですが、顧問の行政書士とともにに国に働きかけたことで、難民認定申請中であってもホワイトカラー職種への就職が決まれば合法的に在留資格を変更できるようになりました。

働くことは生きることです。日本に逃れてきた方が、仕事を通じて自己実現や他者貢献など人としての尊厳を実感しながら生きていけると、私達も嬉しいです。

WELgee団体としての進化

大森:TANZAQに応募されたきっかけはなんですか?

林:参加していたベンチャーNPOを支援するプログラムで、TANZAQ参加団体の関係者と知り合い、TANZAQの取り組みを教えてもらいました。
しかし、最初話を伺ったときは、広告出稿やスポンサーは私達にとって初めてのビジネスモデルだったので、理解が追いついていなかったのが正直なところです。

大森:TANZAQに参加してから、外部の方などから反応はありましたか?

林:協業先の企業から「Yogiboからスポンサード受けてるんですね」と言われることが多かったです。Yogiboは「SUPER GT」を始め、様々な世界的イベントのスポンサーをされていたことで世界的にポジティブなブランド認知があり、そのYogiboに支援されている団体としてポジティブな印象を持たれることにつながったと思います。

大森:実際に広告活動をやってみて、難しかったことはありましたか?

林:元々TANZAQに参加した目的は「より多くの企業人に難民人材の魅力を知ってもらい、採用企業を増やすこと」だったので、主に採用事例を可視化するための記事や代表の言葉を発信していました。

ただ、WELgeeが運用する媒体だけでは設定した目標達成が厳しく、どう露出を高めていくか試行錯誤しました。設定した広告計画を確実に遂行するという意味でも、団体として貴重なトレーニングをさせていただいたと思っています。

大森:TANZAQに参加したことで気付いたことや変わったことがあれば教えてください。

林:まず「広告出稿」という新しい資金調達の可能性に気付きました。NPOは寄付を募るのが通例ですが、そうすると悲惨な状況を伝え、慈悲心に訴えかけるところに落ち着くのが限界です。一方で、広告活動はスポンサーとビジネスパートナーとして対等な関係を築き、純粋に活動の対価として資金を得ることができます。NPOにとって新しい収入源としてのインパクトがあるのは当然ですが、企業にとってもCSVやブランディングとしても貴重な役割を果たすと思います。

もう1点、広報として伝え方を見直すきっかけになりました。こちらの想いばかりを伝えるのではなく、受け取る側のメリットやスポンサーを意識した広報ができるようになりました。

今後の活動について

大森:TANZAQの活動を経て、今後新たに取り組みたいと考えていることなどありますか?

林:「世界難民の日」など、難民に関心が集まる日を狙ったメッセージ訴求やイベント企画を考えています。その際、今回TANZAQで実践した枠組みのように、企業をスポンサーとして巻き込むようなかたちで取り組んでいきたいです。

大森:今回のTANZAQで発信されていた「難民人材の魅力」をより多くの方々に知っていただくためにも、非常に大切なことですよね。TANZAQとしても、スポンサーという役割に留まることなく、幅広く一緒に取り組んでいけたらと考えています。有難うございました!

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