NEWS NPO法人School Voice Project 様への広告出稿が決定しました
NPO法人アンリーシュ

企業との新しい関係性を通じてできた、横のつながりや新しい人脈【完了インタビュー】

TANZAQ の出稿先プロジェクトとして選ばせていただいたNPO法人アンリーシュ。
12ヵ月のプロジェクト実施期間を満了した今、感じていることを伺いました。

NPO法人アンリーシュ

医療的ケア児に関するメディアを運営。新生児医療の発展と共に多くの命が救えるようになった反面、特殊な医療行為を自宅で行う子どもたちが増加している。
医療的ケアに関する情報が不足している背景から、NPO法人アンリーシュは情報発信を通じて当事者の療養生活からご家族の社会復帰までをサポートしている。

聞き手
大森一弘(株式会社Yogibo取締役、TANZAQ 担当)
語り手
金澤裕香さん(NPO法人アンリーシュ代表理事)
日時
2022年10月18日インタビュー実施

はじまりは当事者としての実体験から

大森:TANZAQプロジェクトに参加頂いた当初、金澤さんが「医療ケア児を誰も知らない」と話していたことをよく覚えています。NPO法人アンリーシュはどのような思いがきっかけで設立したのでしょうか?

金澤:最初は私が医療的ケア児である娘を産んだことがきっかけでした。

娘は病名不明だったため患者会に所属できず、他の家族と繋がれなくて孤独を感じた経験から、「自分で始めるしかない」と思い医療的ケアに特化した情報媒体を作ることを決めました。

大森:個人的な思いで活動を始め情報発信していくにあたり、周りからはどのような反応がありましたか?

金澤:「うちの子も同じなんです」という好意的な意見もあったのですが、戸惑いや反対される声も多かったです。今ほどSNSで障がいのある子どもが顔を出し、注目される文化がなかったため、顔を出すことに対する不安の声を沢山いただきました。「子供の問題は家族で解決しなくてはいけない」という固定概念が強く、子育ての苦労をさらけ出すことに抵抗を感じられる方が多かったようです。

ただ、その一方で当事者からの熱い想いもいただきました。「自分と同じような子供を医学論文以外で初めてお見かけし、日本に本当にいるということを知れて涙が止まりませんでした」という言葉は今でも忘れられません。

大森:「他人に迷惑をかけてはいけない」と閉鎖的になってしまう家庭は障がい者に限った問題ではないと思います。昔は日本でも村全体で子育てする文化がありましたが、最近は「家庭のことは家庭の中で」という暗黙の了解があるなかで、あえて情報を発信していくことは誰かの助けになると同時に、発信者自身の発見にもなるのではないでしょうか。

「広告出稿」という企業との新しい関係性

大森:TANZAQで広告活動をしていくうえで苦労はありましたか?

金澤:初めての広告活動だったため、戸惑いの連続でした(笑)。当初は、実際に何をしたらいいのか分からず動けなかったのですが、大森さんから「今のアンリーシュの活動にYogiboのPRを追加する形でいい」と、フォローいただいてからは難しく考えすぎず取り組むことができました。

大森:TANZAQに参加して初めて実施した広告活動のなかで身になっているもの、よかったと感じることはありますか?

金澤:プレスリリースの配信やSNSキャンペーンは初めての挑戦だったのですが、多くの方からフォローいただいたおかげで無事に実施でき、非常にたくさんのことが身になっています。プレスリリースを月一回無料で配信できるNPOプランというものを教えてもらったり、キャンペーンの企画方法を教えてもらったり、今考えればもっと早い段階から相談しておけばよかったです。

Yogibo Mateが当たるSNSキャンペーンは想像以上に反響があり、効果を実感できました。色んな声を聞けたり新たなご縁も広がったので、特にやってよかったと感じています。

また、企業さんとやりとりする機会ができて良かったと感じることは、数字の分析などの弱みや経営に関する考え方などを補ってもらえたことです。数字の面だけでなく、団体の経営のことなどをディスカッションする機会になったことで私自身、代表としての視野が広くなったと感じています。経営は孤独だと思っていましたが、経営をひとりで頑張りすぎることをやめようと思えました。

視野を広げることでできた、横の繋がりや新しい人脈

大森:TANZAQに参加して、新しい気付きはありましたか?

金澤:団体の視野が確実に広くなりました。ディスカッションを重ねるうちに、わたしたちは「医療的ケア児」と「それ以外」を無意識のうちに分け、不必要な区別をしていたことに気づきました。

わたしたちは医療的ケア児当事者にのみに向けて情報を発信していたのですが、御社とのディスカッションを通じて団体ビジョンを『誰もが自分らしい生き方を選択できる社会を創ります』という抽象度の高いコンセプトに変更したことが、まず団体として大きな転機となったと感じています。

大森:団体の新しいビジョンはより包容的なものになりましたよね。ビジョンが定まったことにより、団体の内側に何か変化はありましたか?

金澤:メンバーそれぞれが自分の経験をどう活かすべきかを考えられるようになり、考え方がレベルアップしたように感じます。その影響でチームとしてのまとまりができ、団体として地に足ついた活動ができるようになりました。

大森:団体として実現したい状態が明確になったことによって、団体としての活動内容が「自分たちが発信したいことを発信する」から「自分たちが発信することで、世の中に新しい価値や繋がりを創っていく」へと目的が高まったようにも感じますね。

金澤:まさに仰る通りで、「社会全体をよくしていくために」自分がどこの役割を担うのかを意識することができました。ビジョンを変えてから多方面の企業や団体からお声掛けいただくようになり、この1年での横の繋がりがとても増えました。

また、団体の風通しが良くなったことで、団体の発信が明るくなったように感じます。昔はショッキングなコンテンツを発信しないと見てもらえないと思っていましたが、ポジティブな面を出していても、伝わる人には伝わるということが分かりました。先日医療的ケアの専門家の方から「アンリーシュで発信しているお母さんたちはすごく楽しそうで、そういう子育てをしていることが羨ましくなる」と言ってもらえたことがとても嬉しかったです。

大森:社会課題を解決しようという取り組みは、主観的で閉鎖的な視点に留まったままだと排他的になりやすい傾向があるかもしれません。別の社会課題を解決しようという取り組みと対立構造を生み出してしまうと、本当の意味での社会課題は解決はしていかないですよね。

視点を広げることで、関連する社会課題とも繋がりが見えてきたりします。例えば、保護犬や児童虐待、障がい者に関する課題など、テーマは異なっていたとしても、実は共通項がたくさんありますよね。それぞれの団体が目的や理想にフォーカスすることで、社会の全体最適としての視点を持って活動できれば、更に大きな社会課題の解決に向かっていくのだろうと感じました。

今後の活動について

大森:今後、アンリーシュの活動をどのようにしていきたいとお考えでしょうか?

金澤:来年に向けては、3つの目標を立てています。YouTubeやWEB発信などメディア活動の活性化、他団体や企業と共催したイベントの実施、そして運営の形を変えた団体の規模の拡大を考えています。

実は今『医療的ケア児の就学に関する事例集』というものを作っており、全国の教育委員会や保護者へお配りする予定です。来年の5月にはアンリーシュ関係者をご招待した、少し大きな規模のイベントも企画中です。

大森:運営の形を変えるというのは具体的にどうなるのでしょうか?

金澤:アンリーシュに関わる方々にもっと中心になってもらい、目的から逆算した明確な目標を実現していく組織づくりを考えています。メンバーそれぞれがビジョンを体現しながら周囲を巻き込んで共に発信できる仕組みづくりをしていきます。

大森:なるほど、メンバーの発信や活動がとっても活発になり、団体としてさらなる活躍が期待できそうですね。この度は有難うございました!

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